PRILINEのPLAフィラメントをレビュー|ルアーの造形には?
Amazonには、3Dプリンターのフィラメントがあってどれを選んでいいのか悩むところ。私もいつも悩むし、レビューの数も少ない。実験的に購入してみてとりあえず試すというのが毎度のことだ。
今回購入したフィラメントは「PRILINEのPLAフィラメント」だ。
今回は「PRILINEのPLAフィラメント」を使って、3Dプリンタールアーを作ってみたので、レビューしていこう。「PRILINE」のフィラメントを買おうか悩んでいる人の参考になれば幸いだ。
PRILINE PLAフィラメント
今回購入したのは、PRILINEのPLAフィラメント。

↑PRILINEのPLAフィラメントの外箱



↑フィラメントのリール
カラーは『ピンク』を購入した。フィラメントの発色はかなりキレイで、うっすら透明感がある。少しだけシルキーなツヤも。Amazonのページにあるような不透明感のある仕上がりとは少し異なるので、不透明感を求めているなら注意が必要だ。
基本的なスペックは下記の通り。
参考価格 | 1,999円(税込み) |
フィラメント径(公差) | 1.75mm (± 0.03mm) |
推奨使用温度 | 180-220℃ |
推奨テーブル温度 | 0-50℃ |
フィラメント径の安定性は?
フィラメント径の安定性は、3Dプリンターでの造形時の安定性に大きく影響する。
「PRILINEのフィラメント」の公差は「±0.03」とされているが、実際はどうなのかチェックしてみた。









場所を変えて数カ所測定してみたところ、「1.72~1.75mm」の範囲で寸法は安定していた。フィラメントメーカーによっては安定しないものもある中、公差範囲内で安定しているのは嬉しいところだ。実際、造形時の安定性は高いので、安心できるレベルといえる。
PRILINE PLAフィラメントの造形条件について
今回の造形には『FLASHFORGE / ADVENTURER3』を用いた。



↑『FLASHFORGE / ADVENTURER3』
造形条件は色々と煮詰めてみた結果、下記のような条件が安定して造形できるようになった。
ノズル温度 | 195℃ |
テーブル温度 | 50℃ |
レイヤー高さ | 0.2mm |
ベース送り速度 | 50mm/s |
冷却ファン | 常にオン |
ノズル温度は5℃低い190℃で造形すると、造形物に力を加えるとパキパキといった音がなるようになってしまい、強度的にも明らかに弱くなってしまった。反対に、5℃高い200℃にすると、熱ダレが発生しやすくなって、造形物が印刷途中に倒れるなどのトラブルが発生した。195℃が最も安定するだろう。
冷却が弱いようなので、ファンは常にオンにしておきたい。オフにして造形するとすぐに熱ダレをおこして、まともな造形ができなくなった。
あと、糸引きは結構する印象だったので、大きなモデルを印刷する際はリトラクションは多めに入れたほうがいいかもしれない。今回の造形時は、リトラクションは2mmに設定しているが、あまり解消はできていない。
シンキングペンシルの造形でテスト
今回は、こちらのシンキングペンシルを造形する。恥ずかしながら、シンキングペンシルを使ったことがないので、今回初の設計だ。動くかどうかはわからない。
モデリングには無料でも使用できる3DCADを「FUSION360」を使用した。



↑モデリングしたシンキングペンシル
モデルはヒートン用の下穴をあけた状態で設計している。そのまま造形して、下穴にヒートンをねじ込めばそのまま使用できるタイプの作り方だ。



↑造形中の様子
造形中は、造形開始ポイントが少し熱で反ってしまう。今回のような縦に細長い造形方法の場合、ノズルが反った部分に引っかかってしまうことがあり、この点に苦戦させられる。造形温度195℃というのは、造形強度と熱ダレによる反りのちょうどいい中間点だ。また、糸引きは結構気になるので、これを抑えるにはもっとリトラクションの長さを取ったほうがいいだろう。



↑少し熱ダレが気になる
しかし、全体的な反りに関しては少なく、横方向に面積の広い造形を行ってもあまり反りは発生しなかった。反りが原因のクラックは今まで一度も発生していないので、安定した造形ができている。



↑ヒートンをすべて挿入したルアー
ラフトを取り除いて、ヒートンの下穴にヒートンをねじ込んだ。PLAの材質によっては、ヒートンを入れた段階で積層目が割れてしまう場合もあるが、このフィラメントの場合、積層目同士の強度が高く割れることはなかった。すべてのヒートンを挿入しても、クラックは発生していない。
ヒートンを通してから、力いっぱいルアーをへし折ろうとしてみたが、割れる気配はない。青物には流石に使えないとは思うが、シーバス程度なら耐えてくれるはずだ。「PRILINEのPLAフィラメント」はPLAにしては割れにくく、強度が高い。これならある程度ハードな使い方をしても問題ないだろう。
軽く紙やすりを掛けて表面を滑らかにしたら、最後はセルロースにディッピングし、防水処理をして完成だ。



↑ディッピング処理の様子
PRILINEのPLAは実用部品にもおすすめ
総評として、PRILINEのPLAフィラメントは強度が高く割れにくい。若干、糸引きが気になるところであるが、リトラクションの設定を煮詰めたり、ヤスリがけでなんとでもなる範囲だ。ABSに比べるとヤスリがけはしにくいが、反りが少なく安定した造形ができるのが魅力だ。使いやすいフィラメントであることは間違いないだろう。
正直、PLAフィラメントは強度が低いイメージだったが、久しぶりにPLAを買ってみてよかったと思えた。
安いフィラメントで、反りの少ない、強度のそこそこ高い部品を作りたい方は「PRILINEのPLAフィラメント」を使ってみてほしい。
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